「20代で転職なんて、早すぎるだろうか」「経験が浅いのに、まともに評価してもらえるのか」——そんな不安を抱えながら、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えします。20代の転職は、全年代のなかで最も一般的な選択です。マイナビの調査によると、2025年の年代別転職率は20代が12.0%で最多。10人に1人以上が1年のうちに転職している計算になります。20代の転職はもはや例外ではなく、キャリア形成の標準的な選択肢のひとつです。
そして20代には、他の年代にはない明確な武器があります。未経験の業界・職種へ移れる可能性が、どの年代よりも高いのです。24歳以下の転職者のうち68.7%が異業種へ、53.0%が異職種へ移っています。この「方向転換の自由度」は、年齢を重ねるごとに確実に狭まっていきます。
本記事では、20代の転職市場の実態をデータで整理し、20代前半と後半で変わる評価軸、年収の動き方、早期離職の伝え方、そして「1社目の失敗を2社目で繰り返さない」ための企業選びまでを解説します。
(全年代で最多)
異業種転職の割合
平均年収の変化
【データ】20代の転職は「多数派」である
まず、20代の転職市場の全体像を数字で確認しておきましょう。
年代別の転職率
| 年代 | 2025年の転職率 |
|---|---|
| 20代 | 12.0%(最多) |
| 30代 | 9.0% |
| 40代 | 6.8% |
| 50代 | 3.8% |
20代の転職率は全年代で最も高く、2位の30代を3ポイント上回ります。ただし注目すべきは、20代の転職率は2022年の13.7%をピークに減少傾向にあるという点です。逆に40代・50代は増加しており、市場全体としては「転職が全年代に広がっている」局面にあります。
転職成功者は「25〜29歳」が最多
dodaのデータによると、転職に成功した人の年代別割合は25〜29歳が36.7%で最多でした。24歳以下は10.6%、30〜34歳は23.1%です。つまり、20代後半が転職市場の主戦場ということになります。
早期離職も珍しくない
マイナビの調査では、直近1年間の転職者のうち5人に1人は前職の勤続年数が1年未満でした。早期離職は増加傾向にあり、「短期間で辞めた」という経歴自体が特別視される時代ではなくなりつつあります。
20代前半と後半で、企業の見る目はこう変わる
「20代」とひと括りにされがちですが、実際には24歳前後を境に、企業が見るポイントが大きく変わります。自分がどちらのフェーズにいるかを把握することが、戦略の出発点です。
この時期の転職は、ほぼポテンシャル採用です。実績よりも、意欲・素直さ・学習意欲・人柄が評価されます。未経験の業界・職種へ移るハードルが最も低く、キャリアの方向を大きく変えるなら今が最適なタイミングです。
この年代の戦略
- 実績の少なさを気にしすぎず、意欲と適性を前面に出す
- 未経験分野への挑戦は、この時期が最も通りやすい
- 教育制度が整った企業を選ぶ(基礎を身につけ直せる)
- 「なぜ辞めたか」より「次で何をしたいか」を語る
3〜7年の実務経験があり、かつ年齢的な柔軟性も残っている——この「経験と若さの両立」が20代後半の最大の価値です。企業からは「即戦力として動けて、かつ組織に馴染みやすい」と評価されます。年収アップ成功者が最も多い年齢は27歳というデータもあります。
この年代の戦略
- 実績を数字で語れるように整理する
- 同職種で業界を変える転職が、年収アップに有利
- 完全未経験への挑戦は、この時期が実質的な最終ライン
- 30代を見据えた「専門性の軸」を意識して選ぶ
20代最大の武器|未経験へ移れる自由度
20代の転職を語るうえで、最も重要なデータがこれです。
| 年齢 | 異業種へ転職した割合 | 異職種へ転職した割合 |
|---|---|---|
| 24歳以下 | 68.7% | 53.0% |
| 25〜29歳 | 61.8% | 44.7% |
| 30〜34歳 | 60.4% | 41.7% |
| 35〜39歳 | 58.9% | 38.2% |
| 40歳以上 | 56.4% | 35.2% |
年齢が上がるにつれて、異職種への転職割合は着実に下がっていきます。24歳以下では53.0%——2人に1人が職種そのものを変えているのに対し、40歳以上では35.2%まで低下します。
これは「20代なら何にでもなれる」という意味ではありません。しかし、「今の仕事が自分に合っていない」と感じているなら、方向転換のコストが最も低いのが20代であることは、データが明確に示しています。
今の仕事が明らかに自分に合っていない場合、20代のうちに動くのと30代半ばで動くのとでは、選択肢の広さがまったく違います。ただし、これは「合わないと感じたらすぐ辞めるべき」という意味ではありません。合わない理由が「仕事内容」なのか「この会社」なのかを見極めることが先決です。前者なら職種を変える転職、後者なら同職種で企業を変える転職が正解になります。
20代の転職で年収はどう動くか
平均では約21万円の増加
マイナビの調査では、2025年に転職した20代の平均年収は転職前より21.5万円増加しました。ただし最も増加額が大きいのは30代(+32.4万円)であり、20代はそれに次ぐ2位です。
| 年代 | 転職前後の年収変化 |
|---|---|
| 20代 | +21.5万円 |
| 30代 | +32.4万円(最大) |
| 40代 | 増加傾向 |
| 50代 | ▼4.5万円(唯一の減少) |
20代の平均年収は365万円
dodaの調査によると、20代の平均年収は365万円で、前年比+5万円と過去9年間で最高を更新しました。年代を細かく分けると、20代前半が約267万円、20代後半が約394万円と、20代の5年間で100万円以上の差が生まれます。
年収を左右するのは「業界選び」
同じ20代でも、業種によって平均年収には100万円を超える開きがあります。20代で最も年収水準が高いのは金融業で410万円。20代の転職では、職種の経験を活かしながら業界を変える「業種チェンジ」が、年収アップに最も有利に働く傾向があります。
「早期離職は不利」を覆す伝え方
20代の転職で最大の懸念が「短期間で辞めたことをどう説明するか」でしょう。面接官が知りたいのは、「うちに来ても、また同じ理由で辞めないか」——この一点に尽きます。
面接官の不安を解消する3つの要素
- ① 辞めた理由が明確で、他責になっていない
- ② その理由が、応募先では起こらないと説明できる
- ③ 在籍期間中に何かを得たと語れる
「残業が多くてつらかった」
「思っていた仕事と違った」
→ 他責に聞こえ、環境が変わればまた同じことを言うのでは、と思われる
→ 自省があり、再発しない根拠も示されている
短い在籍期間でも語れることはある
「1年で辞めたから語れる実績がない」と考える方は多いですが、それは誤解です。次のような要素は、期間の長短にかかわらず語れます。
- 担当業務のなかで自分なりに工夫したこと
- 社会人としての基礎(報連相、スケジュール管理、対人対応)
- その経験から見えた「自分に向いていること・いないこと」
- 次の環境で活かせると考えている学び
20代がやりがちな失敗5選
失敗① 「今の会社が嫌」だけで動く
不満から逃げる転職は、次の会社でも同じ不満に直面しやすくなります。転職を考え始めたら、まず「何が嫌なのか」を具体的に言語化してください。それが会社固有の問題なのか、職種の性質なのか、業界の構造なのかで、取るべき選択肢はまったく変わります。
失敗② 自分の市場価値を確かめずに決める
20代は経験が浅い分、自分の市場価値を過小評価しがちです。「どうせ選べる立場じゃない」と最初の内定に飛びつくと、条件面で不利な選択をしてしまいます。複数社を比較したうえで判断しましょう。
失敗③ 知名度や規模だけで企業を選ぶ
「大手なら安心」「有名企業なら間違いない」という判断は、20代に特に多い失敗です。企業規模と働きやすさ・経営の安定度は別物であり、規模が大きくても事業撤退やリストラは起こります。
失敗④ 転職の目的が曖昧なまま進める
年収を上げたいのか、労働環境を改善したいのか、専門性を積みたいのか——優先順位を決めずに動くと、内定が出た段階で判断できなくなります。事前に「絶対条件」を3つ以内に絞っておきましょう。
失敗⑤ 在職中に動かず、無職期間を作る
勢いで退職してから転職活動を始めると、収入が途絶える焦りから、条件を妥協しがちです。特別な事情がない限り、在職中に活動を始めるのが鉄則です。
20代こそ「経営の安定度」を見るべき理由
ここが本記事で最もお伝えしたいポイントです。
20代の転職では、仕事内容・年収・職場の雰囲気に関心が向きがちで、企業の経営状態を確認する人はほとんどいません。「まだ若いから、何かあってもやり直せる」という感覚もあるでしょう。しかし実際には、20代こそ経営の安定度を確認すべき理由があります。
理由① 転職回数が積み上がると、選択肢が狭まる
1社目を短期間で辞め、2社目も経営不振で数年で辞めることになれば、20代のうちに「短期離職2回」という経歴になります。3回目の転職では、企業側の見る目は確実に厳しくなります。2社目こそ、腰を据えて働ける会社を選ぶ必要があるのです。
理由② 教育制度は経営の余裕から生まれる
20代にとって、入社後にどれだけスキルを積めるかは決定的に重要です。しかし研修制度も資格取得支援も、利益に余裕がある企業でなければ維持できません。業績が苦しい会社では、教育投資が真っ先に削られます。制度の有無だけでなく、それを続けられる経営体力があるかを見る必要があります。
理由③ 20代の数年は、キャリアの土台になる
20代でどんな環境に身を置いたかが、30代以降の市場価値を決めます。経営が不安定な会社では、目先の売上に追われて長期的なスキル形成の機会が失われがちです。「何を学べる環境か」は、その会社の経営状態と切り離せません。
会社の総資産のうち、返済不要な自己資本の割合。高いほど財務が健全で、不況時にも耐えられます。20%を下回る企業は、業績悪化時に賞与カットや採用停止が起こりやすくなります。
単年の業績ではなく、複数年の推移を見ます。外部環境が悪化した年にも黒字を維持できていた企業は、事業の耐久力が高いと判断できます。
同業界の平均と比較して判断します。社員が長く続けている会社は、それだけで働きやすさを総合的に示しています。
20代の転職を成功させる5ステップ
漠然とした「辞めたい」を、具体的な要素に分解します。仕事内容か、人間関係か、労働時間か、給与か、将来性か。この分解ができれば、転職以外の解決策(部署異動など)が見つかることもあります。
「年収400万円以上」「転勤なし」「土日休み」など、譲れない条件を3つまで決めます。5つも6つもあると優先順位がついていないのと同じで、内定が出たときに判断できなくなります。
職種の経験を活かしながら業界を変えるパターンは、20代の年収アップで最も成果が出やすい選択肢です。「業界を変えるだけで待遇が変わる」ケースは珍しくありません。
収入を確保したまま活動することで、焦りによる妥協を防げます。最低でも3社は比較し、条件と経営状態の両面から検討しましょう。
仕事内容と年収で候補を絞ったら、最後に必ず経営状態を確認します。ここを飛ばすと、数年後にまた転職活動をすることになりかねません。20代の転職は「これで最後にする」つもりで選ぶことが、結果的に最短の道になります。
まとめ
20代の転職率は12.0%と全年代で最多であり、もはや例外的な選択ではありません。そして20代には、他の年代にはない明確な武器があります。24歳以下の68.7%が異業種へ、53.0%が異職種へ移っているというデータが示すとおり、キャリアの方向転換ができる自由度が最も高いのが20代です。
ただし、20代前半と後半では企業の評価軸が変わります。前半はポテンシャル、後半は経験と若さの両立。自分がどのフェーズにいるかを踏まえて戦略を立てることが重要です。また、早期離職の経歴は「自省があり、再発しない根拠を示せるか」で評価が分かれます。
そして最も大切なのが、2社目こそ経営の安定度を確認して選ぶということ。転職回数が積み上がるほど選択肢は狭まり、教育制度も経営の余裕がなければ維持されません。20代の数年間は、30代以降の市場価値を決める土台になります。「若さがあるからやり直せる」ではなく、「若いうちに腰を据えられる環境を選ぶ」——それが、20代の転職を成功に導く考え方です。
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