育休中に知っておきたいお金・手続き・制度
NEW育休中は収入が減る一方で、雇用保険の給付金や社会保険料の免除など、家計を支える制度が複数あります。2025年は新しい給付も始まるため、全体像を早めに押さえることが重要です。
この記事では、育休中にもらえる給付金(新制度含む)から、住民税・社会保険料の扱い、資金不足時の対策までを、手続きの要点とあわせて整理します。
「会社がやる手続き/自分がやる手続き」を切り分け、申請漏れや支払い遅れを防ぐための実務的なチェックポイントもまとめます。
育休中にもらえる給付金の全体像(2025年の新制度含む)
育休中の主な収入源は雇用保険の給付です。2025年開始の新給付も含め、何が・いつから・どんな条件でもらえるのかを先に整理しておくと資金計画が立てやすくなります。
育休中の生活費は、貯蓄だけで耐える設計にすると苦しくなりやすいです。多くの家庭は、雇用保険からの給付を「定期収入」として組み込み、住民税などの支払い時期とぶつからないようにキャッシュの山谷をならします。
ここで重要なのは、給付金は申請したらすぐ入るお金ではない点です。制度としては原則2か月分をまとめて支給するため、最初の入金まで時間がかかりやすく、育休入り直後が最も資金繰りが厳しくなります。
また、育休中に少し働く選択をする場合は、給付の要件と整合する範囲に収める必要があります。働き方が「恒常的」になると、育休の前提から外れて給付に影響する可能性があるため、勤務の入れ方は会社と事前にすり合わせるのが安全です。
育児休業給付金の対象者と支給額の目安
育児休業給付金は、原則として雇用保険の被保険者が、1歳未満の子を養育するために育休を取得したときに受け取れる給付です。性別は関係なく、雇用保険に入っているパート・派遣でも要件を満たせば対象になり得ます。
受給の基本要件として押さえたいのは、育休開始前2年間に「賃金が支払われた日数が一定以上ある月」が通算12か月以上あること、そして育休中の就業が原則少ないことです。具体的には支給単位期間(1か月ごと)で、就業日数が10日以下、10日を超える場合は就業時間80時間以下が目安になります。有期雇用は、一定の継続勤務要件や、契約満了が明らかでないことなど追加の注意点があります。
支給額は概ね、休業開始時賃金日額×支給日数×給付率で計算されます。給付率は一定期間は67%、その後は50%へ段階的に下がる仕組みで、上限額もあります。会社から賃金が出る場合は給付が減額調整されることがあり、特に「休業前賃金の8割以上が支払われている」と給付対象外になり得る点は要注意です。なお給付金は非課税なので、所得税・住民税の課税対象としては数えません。
実務上の落とし穴は入金のタイミングです。申請は原則会社経由で進み、支給は2か月分まとめて振り込まれることが多いため、育休開始直後は手取りがゼロに近い期間が発生しがちです。生活費・住民税・固定費の支払いを何でつなぐかを、育休前に必ずシミュレーションしておくと安心です。
出生時育児休業給付金(産後パパ育休)の概要
出生時育児休業給付金は、いわゆる産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した場合に、雇用保険から支給される給付です。主に父親等が、子の出生後8週間以内に取得する休業が対象で、育休とは別枠で設計されています。
制度の枠組みとしては、取得できる日数は最大28日で、分割して2回まで取得できます。分割できることで、退院直後と里帰り終了後など、家庭の波に合わせて休業を当てやすいのがメリットです。
支給額の考え方は、休業開始時賃金日額×休業日数×67%が基本で、こちらも上限があります。また休業中に働く場合は、就業日数10日(または80時間)を超えると支給要件から外れやすくなります。制度上は「一時的・臨時的」な就労に限る前提なので、毎週決まって働くような入れ方はリスクがあると理解しておくと安全です。
申請は原則として会社が行います。本人が準備するものとしては、子の出生日や養育の事実が分かる書類(母子手帳の写し等)を求められることが多いので、何が必要かを人事・総務に早めに確認しておきましょう。
出生後休業支援給付金(2025年4月〜)の概要
出生後休業支援給付金は、2025年4月から始まる新しい給付で、育児休業給付金や出生時育児休業給付金に上乗せされる位置づけです。狙いは、産後の一定期間に夫婦で育休を取りやすくし、家計面でも後押しすることにあります。
要件の中心は、夫婦双方の育休取得です。通算14日以上の取得などの条件が想定され、父は出生後8週以内、母は産後休業後の一定期間内に育休を取得する、といった時間軸がポイントになります。一方で、配偶者が自営業・フリーランスなど雇用労働者でない場合は、夫婦双方取得の要件がそのまま当てはまらない扱いが用意されるため、家庭の就業形態で判断が分かれます。
支給額のイメージは、既存給付の67%に上乗せ13%が加わり、合計で給付率80%相当になる形です。対象期間は上限28日など、初期の育児負担が大きい時期に集中します。
申請の流れは、既存の育休給付と合わせて会社がまとめて申請しやすい設計が想定されます。ただし、新制度は運用開始直後ほど会社側も確認事項が増えがちなので、育休の取得計画(誰がいつ何日取るか)を早めに確定させ、社内の申請締切や必要書類を先に押さえるのが現実的です。
育児時短就業給付金(2025年4月〜)の概要
育児時短就業給付金は、2025年4月から始まる新給付で、育休から復帰した後に時短勤務を選んだ人の収入減を補うための仕組みです。育休の「休む期間」だけでなく、復帰後の「働き方の調整期間」まで支援をつなげる発想がポイントです。
対象となるのは、所定労働時間を短縮して働くなど、一定の時短就業の形をとるケースが中心になります。雇用保険の要件に関わる部分もあるため、時短の開始時期や契約上の勤務時間、賃金の下がり方が制度要件と合っているかの確認が重要です。
支給は、賃金が低下した分を一定程度補填するイメージになります。つまり、時短により手取りが減っても、家計が急落しにくい設計です。
実務で大切なのは、復帰前に会社と「就業形態の定義」をそろえることです。時短の扱い(勤務時間、賃金計算、残業の有無)が曖昧だと、申請の前提が崩れたり、想定より支給が少なくなることがあります。育休給付が切れる時期と、復帰後の時短期間の家計を一本の資金計画としてつなげておくと、焦りが減ります。
チェック:育休給付の「入金遅れ」で困らないために
- 初回入金までの生活費(家賃・光熱・通信・食費)を何でつなぐか決めておく
- 給付は原則「2か月分まとめて」になりやすい前提で、支払い期限とぶつからないか確認する
- 育休中に働く場合は、就業日数・時間が要件に触れないか会社と事前確認する
- 開始日・終了予定日(延長・短縮含む)を早めに会社へ共有する
育休中の税金:住民税はどうなる?
住民税は前年の所得をもとに課税されるため、育休中に給与がなくても支払いが発生しやすい税金です。徴収方法の切り替えと、払えない場合の相談先を押さえます。
育休中に意外と効いてくるのが住民税です。前年の所得で決まるため、今年は無給でも、去年働いていれば翌年の6月から住民税が発生します。給付金が非課税でも、住民税の請求自体が消えるわけではありません。
問題は金額よりもタイミングです。育休の入り方によっては、給与天引きができず、納付書での支払いに切り替わります。すると、給付金の入金が遅い時期と納付期限が重なり、家計が一時的に詰まりやすくなります。
対策としては、育休に入る前に「いつから、どの方法で、いくら払うのか」を会社と自治体のどちらに確認すべきか切り分けておくことです。払えない可能性があるなら、滞納してからではなく、納付期限前に相談すると打てる手が増えます。
住民税の支払い方法(特別徴収から普通徴収への切り替え)
会社員の住民税は通常、給与天引きの特別徴収で支払います。ただし育休中に給与が出ないと、天引きができないため、普通徴収(納付書払い)へ切り替わることがあります。
切り替え方は、休業に入る時期でパターンが分かれます。例えば、年度途中で休みに入ると、未徴収分が最後の給与で一括徴収されたり、自治体から納付書が届いて自分で払う形になったりします。どちらになるかで、必要な現金の準備が大きく変わります。
納付書が届く時期は自治体のスケジュールに従います。支払い手段は、コンビニ払い、金融機関、口座振替などが一般的です。口座振替にすると払い忘れリスクは下がりますが、残高不足だと未納扱いになるため、引き落とし日の管理が必要です。
役割分担としては、会社には「育休中の住民税の取り扱い(最後の給与での一括徴収の有無、普通徴収への切替有無)」を確認し、自治体には「納付書の発送時期や支払い方法」を確認すると整理しやすいです。
払えないときの対処(徴収猶予・分割・自治体相談)
住民税が払えないときは、放置するより先に自治体へ相談するのが鉄則です。条件を満たせば、徴収猶予や分割納付といった対応が取れる可能性があります。減免が認められるケースもありますが、要件は自治体ごとに異なるため、個別確認が必要です。
滞納すると延滞金が発生したり、督促が届いたりして、精神的な負担も増えます。育児で手一杯の時期に問題を先送りすると、対応コストが上がりやすい点が現実的なリスクです。
相談時には、収入が減っている事実を示せる資料があると話が早いです。例えば、育休中であることが分かる書類、給与明細の変化、通帳の入出金状況などを準備し、いつからいくらなら払えるかの見通しをセットで伝えると、分割案が作りやすくなります。
育休中の社会保険料:免除の仕組みと手続き
育休中は健康保険・厚生年金の保険料が免除される制度があり、手取りへの影響が大きいポイントです。免除対象期間や条件、手続きの主体を確認しましょう。
育休中に家計を助ける最大の制度の一つが、社会保険料(健康保険・厚生年金)の免除です。給与が減るのに保険料だけ満額だと生活が成り立ちにくいため、免除の有無で実質手取りは大きく変わります。
重要なのは、免除されても健康保険の資格は継続し、年金上も納付済みとして扱われる点です。つまり、医療保険が使えなくなったり、将来の年金が大きく目減りしたりする仕組みではありません。
一方で免除は自動ではなく、休業期間の情報をもとに会社が手続きを行うのが原則です。開始日・終了予定日が変わると再手続きが必要になることがあるため、予定変更を「会社に早く伝える」ことが、結果的に家計を守ります。
健康保険・厚生年金の保険料免除と注意点
育休(および産前産後休業)期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。免除されるのは本人負担分だけでなく事業主負担分も含まれるため、制度としてのインパクトが大きいのが特徴です。
免除期間中も、健康保険の被保険者資格は続きます。さらに厚生年金は、免除されている期間も納付済み期間として扱われ、将来の年金額の計算に基本的に反映されます。育休を取ること自体が老後の不利につながりにくいよう設計されています。
注意点は、免除が月単位で管理されることです。育休開始月や終了月は、休業日数の条件によって免除対象になるかが変わることがあります。特に月の途中で開始・終了する場合は、どの月が免除対象かを会社に確認しておくと、後で差額精算が起きにくくなります。
手続きは原則会社が行います。だからこそ、育休の開始日・終了予定日を正確に共有し、延長や短縮が決まったらすぐ連絡するのが実務上の最重要ポイントです。
雇用保険料の扱い(育休中は原則かからない)
雇用保険料は賃金に対してかかるため、無給の育休中は原則として負担が発生しません。給与明細が出ない月は、そもそも控除される対象がない、という理解で問題ありません。
ただし育休中に一時的に就労して賃金が発生すると、その月は雇用保険料が控除されることがあります。金額自体は大きくなくても、家計の予測を立てる際には見落としがちなポイントです。
また、働く場合は給付金側の要件ともセットで管理が必要です。就業日数10日(または80時間)を超えないこと、恒常的な就労にならないことなど、給付の前提に触れる可能性があるため、勤務は例外対応として慎重に組み立てましょう。
実務メモ:会社がやる手続き/自分がやる手続き
会社がやる手続き(原則)
- 育児休業給付(産後パパ育休含む)の申請・提出(雇用保険)
- 健康保険・厚生年金の保険料免除の手続き(社会保険)
- 住民税の徴収方法の処理(特別徴収の停止・普通徴収への切替 等)
自分がやる手続き(原則)
- 必要書類(母子手帳の写し等)の準備・提出(会社から求められる範囲)
- 住民税の納付(普通徴収になった場合)と納付期限の管理
- 資金不足が見える場合の自治体相談(猶予・分割等は期限前が有利)
育休中にお金が足りないときの家計対策
給付金の入金タイミングや住民税の負担で、育休中は一時的にキャッシュが不足しがちです。支出の見直しと、使える公的支援の探し方を具体化します。
育休中の資金不足は、収入総額の問題というより、入金と支払いのタイミングがずれることで起きやすいです。特に初回給付が遅れやすい一方、家賃や通信費は待ってくれません。まずは短期の資金繰りを優先して整えます。
見直しは、変動費より固定費から手を付けたほうが効果が出ます。固定費は一度下げると毎月効くため、育児で時間が取れない時期でも成果が残りやすいからです。
あわせて、公的支援は自治体差が大きいので、全国共通の知識だけでは取りこぼしが出ます。探し方の型を持っておくと、必要な制度に最短距離でたどり着けます。
固定費・食費・ベビー用品の見直しと公的支援の探し方
固定費は、通信費、保険、サブスク、住宅費の順に見直すと効果が出やすいです。通信はプラン変更だけで数千円単位の削減が狙え、サブスクは解約の即効性が高い一方、住宅費は交渉や住み替えが必要で時間がかかるため、優先順位をつけるのが現実的です。
食費は、節約の頑張りが育児疲れに直結しやすい項目です。無理に削るより、月の上限を決めて、買い物回数を減らす、まとめ買いと冷凍を使うなど、意思決定の回数を減らす工夫が続きます。
ベビー用品は新品購入に偏ると出費が跳ねやすいので、レンタル、お下がり、フリマアプリ、自治体の配布や貸与を組み合わせると負担が下がります。特に短期間しか使わない大型用品は、買うより借りるほうが合理的になりがちです。
公的支援の探し方は、自治体サイトと窓口確認の二段構えが確実です。子育て支援課や保健センターで、出産・子育て関連給付、乳幼児の医療費助成、保育料、ひとり親支援、家計急変時の支援などを一覧で確認します。最後に、給付金の初回入金までを乗り切るため、口座残高の推移を見える化し、最低必要額(家賃・光熱・通信・税)だけでも先に確保する計画を立てると、焦りが減ります。
育休中のポイント総まとめ
育休中の家計は、もらえるお金だけでなく、払うお金と免除されるお金をセットで管理すると安定します。給付金は非課税で、社会保険料は免除になり得る一方、住民税は前年所得ベースで発生するため、同じ「休業中」でも出入りの性格が異なります。
行動リストとしては、まず会社に、育休の開始日・終了予定日、給付金申請のスケジュール、住民税の徴収方法(最後の給与での一括徴収か普通徴収か)を確認します。次に自分側で、納付書の到着時期、支払い手段、引き落とし口座の残高管理を整えます。
困ったときの相談先は、制度ごとに分けると迷いません。給付金はハローワーク、育児・介護休業法の運用は都道府県労働局、住民税は自治体、社会保険料免除の手続き状況は会社の人事・総務が起点になります。育休中は判断コストが上がる時期なので、連絡先と確認項目を事前にメモしておくだけでも、手続き漏れや支払い遅れを大きく減らせます。
▼ 自分に合う働き方ができる企業を探す
JOBSCOREで求人を探す企業の「経営安定度」や「働きやすさ」を独自アルゴリズムで数値化・分析する専門チームです。制度や数字をわかりやすく整理し、転職・就職で後悔しないための判断軸を発信しています。
JOBSCORE編集部